第十三回の音楽療法が終了しましたので、アセスメント、プログラム、記録等ご報告させていただきます。
[アセスメント]
前回、インフルエンザ等の理由により2階の方のみの参加になり、全フロアの方が参加するのは、2ヶ月ぶりになります。
人数は、38名(全員で42名)になります。
始まる前に、クライアントの方々とお話をさせていただきました。
前回、参加できなかった方が朝から楽しみにしていただき自分の到着と同時に最前列に座っていただきました。(5名)
今回は、1・2・3列目のほとんどの方が2ヶ月ぶりの参加になります。
そして、後列の方は誘導の順番もあり、リクライニング型の車椅子の方が多くになりましたが、同時にスタッフの方にも補助をついていただけるように事前に(スタッフの方に)説明させていただきました。
時間は14時ちょうどのはじまりになります。
[プログラム]
1.挨拶
はじまりの挨拶をさせていただきました。3月の季節の話、春の話を少しだけさせていただきました。
2.準備運動
呼吸法を実施。その後、発声法を実施。
発声は以前ご指摘いただいた通り、
お腹に力を入れ声を出していただくため、「エイエイオー」をしっかりと発声として実施しました。
→声はしっかりと出ており、手も一緒に挙げて発声しました。
前回とは違い、人数も多いため、しっかりと声の確認もでき、同時に手を挙げていただけることも確認できました。
3.季節の歌
『うれしいひなまつり』・『仰げば尊し』を歌唱。歌唱後は曲の説明、季節の話を実施し、質疑応答もしました。
→歌唱は問題ありませんでした。しっかりと声を出していただける方がほとんどになり、口や喉が動いていることも全体的に確認できました。
質疑応答では、「春にはどのような花が咲きますか?」と聞くと、最前列で答えていただける方、後列で答えていただける方と多くの方の答えが確認できました。
前のセラピストに答えていただくだけではなく、隣にいてるスタッフの方に答えていただけた方も多く見受けられました。
4.手遊び歌
『春が来た』を歌唱し、同時に手遊びを実施。手遊びの内容は、
【グーチョキパー→手拍子】になります。
→手遊びの内容を説明させていただくときに、いつも「しっかりと指を伸ばしてください」と言いますが、今回は前で確認できる限り、自分が言う前にしっかりと指が出ていました。
(後でスタッフの方に聞くと、普段のレクレーション時も同じように説明をしているので、それが身体で覚えている方が多い、とのことでした。)
しっかりと指が出ているのが確認はできたのですが、後列の方はスタッフ補助があっても全員参加とはならなかったので、急遽【グー→パー】と途中で変更・追加しました。
グーパーなら出せる方も増えましたが、それでも「全員参加」にはなりませんでした。
歌唱に関しては、問題なく季節の歌と同じく口や喉が動いていることも確認できました。
5.合奏
『丘を越えて』の曲に合わせ合奏を実施。
合奏内容は、前回と同じく、
「1.2.123→楽器を振る→三三七拍子」になります。前回の人数が少ないときは一人も間違えることなく合わせることができていたので、今回は人数が多くても前回と同じように合わせれるように挑戦しました。
→楽器は、鳴子・鈴・タンバリン・太鼓になります。
一人一人に合わせ、楽器を選んでいただき、なるべく後列の方には、鈴をスタッフの方と一緒に握っていただけるようにしました。
ここでも参加率は100%を目指していた為、なるべくスタッフの方に補助を入念にしていただきました。参加率は前で見ている限りでは補助もありながら、全員が鳴らしていただけました。
合奏は、前の模造紙を見ながらしっかりと実施していただき、集中している様子も確認できました。
6.懐メロ
『東京ラプソディ』・『港町十三番地』の2曲を歌唱。そして曲に関する説明を実施し、質問もさせていただきました。
その後、今回は、港町十三番地の昭和32年に合わせ、本人歌入り曲として、『東京のバスガール』を聴いていただき、回想に繋げました。
→東京ラプソディでは、今回で一番の盛り上がりがありました。
4番まで疲れる様子もなく声がしっかりと出ていました。
港町十三番地では、男性の方が「美空ひばりの曲!」と答えていただき、頷かれる方も多く見受けられました。
歌唱では、男性の方がしっかりと声を高い声まで出していただける姿も見れました。
東京のバスガールでは、
以前と同じくほとんどの方が目を閉じ、歌詞を思い出し、口をしっかりと開けて唄われる姿が確認できました。
本人曲の回想にて、寝たきりの方の反応が毎回よく確認できる為、今回はスタッフの方にもしっかりと見ていただきました。
スタッフ様が確認できたこととしては、
ずっと目を閉じていた方が目を開けて聴いている姿や、喉が動いている方が多くいらっしゃった、とのことでした。
前列の方は、自ら指揮を指で取りながら唄われる姿が多く見受けられました。
その他にも今回初参加の女性の方が、懐メロ時に、涙を出されていたと終了後にスタッフ様からお話をいただけました。
7.体操
『白鳥』をBGMとし、一緒に椅子に座りながら短い体操を実施。
クールダウンへの誘発に向け、静かに実施。
8.クールダウン
『夕焼け小焼け』を歌唱していただき、静かに終了しました。
→今回もピアニカの使用にて、音を覚えていただいてる方が多くいらっしゃいました。
ピアニカの音をしっかりと聴いていただいてる姿も前からよくわかりました。
時間は15時ちょうどの終了になります。
[記録・反省]
・前回は人数が少なかった為、全員の参加ができましたが、今回は、「全員参加」とはなりませんでした。
やはり、手遊びや合奏にてスタッフの補助が行き届かない場面が数回あったため、手遊びや合奏で何かの工夫をして「全員参加」することが課題になります。
・今回は、歌唱に関しては問題なく、声もしっかりと後半も出ており、喉が動いている姿がほとんどのスタッフの方から確認できました。
・回想では、もう少し質疑応答ができればと思いました。
以前実施したときに、「この曲は誰が唄っていましたか?」と聞くより、「この曲を唄っていた方は誰か、次の3名から選んでください」と質問するほうが答えていただける方が多いことがわかったのですが、
今回はその質問方法ができなかったということが反省点になります。
・今回で音楽療法を実施し、一年になります。
以下、スタッフの方から聞いたスタッフの方が感じた一年での変化を書かせていただきます。
1.音楽療法を始め、1年の間で全体的に日常でもよく声が出ている。会話するときの声に張りがでている。
2.普段の実施しているレクレーション時も、参加率は上がっており、カラオケのレクレーションでは、前で唄われているクライアント様以外にも、後ろで唄われるクライアント様の姿が増えた。(以前までは、手拍子を取っているだけや、聴いているだけ、とのことでした。)
3.音楽療法自体のことをしっかりと覚えてる方が多い、そしてそれを楽しみにされている方が多い、とのことです。
→水曜日を迎えるときに毎回「今日は音楽の日?」と聞かれる男性の方や、「先生今日は、次はどんな曲歌うの?」と言われる女性の方や、「握手してください!」と言われる方が多くいらっしゃいました。
(以前書かせていただいたことがありますが、)他にも音楽療法の日に向けて、自ら合奏の練習をレクレーション時にされる方や、ファンの方が最前列の席を確保する為、朝から待っていらっしゃったりと話を聞かせていただきました。
4.特養のショートステイ利用の方が最近では、音楽療法の日に利用したいとご本人様が申し出ているとのことでした。
以前、インフルエンザ等の理由で、参加者が限られたとき、それが残念で「なんで参加できないの?」と言われる方がいらっしゃったとのことでした。
5.歌唱している姿や回想している姿が非常によく顔に出ており、日常では見せない姿を音楽療法の日に拝見できる、とのことでした。
普段、スタッフの方に見せない表情や歌っている姿がこの一年で何回も見れました、と言っていただきました。
以上が、スタッフ様からご意見いただけた変化になります。
私も前で音楽療法をさせていただいて、クライアント様の変化がかなりわかりました。
【学院長より】
月一回のセッションが一回抜けるととても残念ですね。
効果的にもやはり月2回に出来るようにお願いしてみてください。
手遊びですが、指を伸ばす曲げるを重点に置いてるの?もしそうなら、グーパーでなくても指を曲げる伸ばす等を全員参加出来るように考えてみたらどうですか?
歌唱療法じゃないので、別にグーパーを合わせる必要はないのでは?